なぜF1は1600ccターボに変わるのか(1)

なぜF1は1600ccターボに変わるのか(2)

1988年、翌年からターボエンジンが禁止されるという、現状ではターボF1最後の年です。
この年はホンダエンジンを使用するマクラーレンが16戦中15勝という圧倒的強さを見せ、レースの興味はチーム間や車間の争いではなく、同一チーム内で争うアイルトン・セナとアラン・プロストの
人のどちらが勝つかというものでした。
そしてある燃費の厳しいサーキットでのレースの時、燃費が厳しくペースを落として走らざるを得なかったアイルトン・セナに対して、速いペースを維持したまま走り切ったアラン・プロストが優勝しました。
この結果に強い興味を持ったのが、エンジンを供給していたホンダの技術者でした。
彼らにしてみれば全く同じエンジンを
人に供給しているのにそんなに燃費に差がつくはずがないと思うのは当然でした。
なぜ燃費にそれほど差がついたのかを解明するため、ホンダ・マクラーレン・セナ・プロストの4者が集まり、テレメタリーシステムのデータを参照しながらの話し合いがもたれました。
そこで明らかになったのはプロストが使用していた燃費を抑えるためのテクニックでした。
ターボF1時代、レース途中での給油は禁止されている一方、エンジンのほうはターボのブースト圧を上げれば燃料は多く消費しますがパワーはいくらでもあげらました。
このブースト圧はレース中にドライバーが任意に調節できるようになっており、勝負どころではパワーアップのためにブースト圧を上げ、燃費が厳しくなるとブースト圧を下げ燃料消費を抑えるという使い方がされていました。
しかしプロストの使っていたテクニックはその常識的な使い方を打ち破るものでした。
プロストはブースト圧を上げることによって燃料消費を抑えていたのです。
もちろんただブースト圧を上げただけでは燃費を良くすることはできません。
そこには燃料消費を少なくするための
つの前提がありました。
それは、走るペースは一定であること、すなわち結果としてのエンジン出力はブースト圧を上げる前と変わらないことと、エンジンの回転数を下げて走ることです。