なぜF1は1600ccターボに変わるのか(3)
ターボのついてない一般的な自然吸気エンジンの場合、エンジン1回転当たりに消費される燃料は基本的に一定ですので、単位時間当たりのエンジン回転数があがるほど燃料消費が増えその分パワーが上がり、逆に回転数が下がればパワーダウンすることになります。
つまりプロストはエンジン回転数を下げることによって失ったパワーを、ブースト圧を上げることによって補っていたのです。
ではエンジン回転数を下げるとどのような効果があるのでしょう。
エンジンというのはフリクション=摩擦のかたまりです。
エンジンオイルで潤滑はしていますが決して摩擦によるエネルギーロスは0にはなりませんし、回転数を上げれば上げるほどエネルギーロスは大きくなります。
一方ターボ関連の機器については排気ガスを利用したいわば捨てていたエネルギーの再利用といってもいい仕組みであり、ブースト圧を上げる行為自体がフリクションによるエネルギーロスを引き起こすことはありません。
このように同じパワーを出すのであればターボエンジンは自然吸気エンジンよりも燃費に有利なエンジンなのです。
この考え方を元に現在、特にヨーロッパのメーカーでは小排気量ターボエンジンを搭載した車を低燃費なエコカーとして売り出しています。
小さく軽くフリクションロスの小さいエンジンにターボで燃料過給を行うことによって同じパワー出力の大排気量車よりも低燃費なエンジンを実現しているのです。
今回のF1のエンジンレギュレーションの変更はこの小排気量
ターボはエコであるという考え方の流れに沿ったものです。
そのためエンジン型式も当初はV6ではなく市販の実用車で一般的な直列4気筒にターボで過給を行うというものでした。
しかしF1にエンジンを供給している自動車メーカー、特にスポーツカー専門メーカーであるフェラーリは自社のイメージに合わないと拒否し、結局過去にF1で使用実績のあるV6ターボエンジンに落ち着きました。
1.6リッターV6ターボエンジンというと、1980年代中盤にホンダが全盛を極めました。
これを機会にエンジンサプライヤーとしてのホンダのF1復帰が期待されますが、既に0年以上前の技術であり、F1でのターボエンジン禁止直後に工学学会でエンジン技術を惜しげもなく公開してしまっていますので、他のエンジンサプライヤーに対する技術的アドバンテージは既に存在せず、一からのスタートにならざるを得ないことと昨今の経済状況を考えれば復帰はありえないと考えざるをえません。